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日々の食生活丸見えです^^


by yaya_22

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教子


カチャ、カチャ、コトッ・・・
撮影用のお弁当が仕上がった。
‟・・・これでよし。・・・おいしそうに見えるわ・・・・・”
独り言をつぶやくと 数枚、角度を変えながらデジカメのシャッターを切る。
時計を見ると、夜中の1時をすぎていた。
‟これを撮り終えたら、休みましょ・・・”
寝室に入ると夫が本を読んでいた。
「あなた、少しマッサージお願いできる?」
「・・ん、ああ。」
数年前、浮気を許してから 夫は優しい。
‟これぐらい当然よね”
「明日、ゴミお願いしますね」
「・・ああ、 ・・・・どうだ?」
腰の辺りにあった夫の手に力が入る。
「・・痛い。」
「すまん」


                                     ・・・ってか  許してないだろ!







教子 高校3年

桜咲くポカポカ陽気の春の日の放課後の校庭。
数メートル先を裕子が歩いていた。
その先にある学校前のバス停に向かっている様子だったが、とても楽しそうに話をしている。
裕子のあのアッケラカンとした明るさはあまり好きじゃない。
“なんだか下品”
そう心でつぶやき、裕子の後姿を目で追いながら、迎えの車を待っていた。

教子の家はエリート一家で、教師であった祖父と祖母、商社に勤める父、大学生の兄、
そして、今は専業主婦の母もまた教師をしていた。
物心ついたときからセレブな人たちに囲まれて、裕福な家庭に育ち、
そしてそれが当たり前のお嬢様である。その家の初めての女の子として生まれた教子は、
お人形のようなパッチリした目にスッと鼻筋が通り、整った顔立ちの美人系である。
周りの人間からいつも可愛がられて、大人受けのするとても良い子だった。
教子自身も、どうすれば褒められるのかいう事をしっかり理解している賢い子で、
例えば欲しいおもちゃがあれば、おねだりする前に、おもちゃは殆ど手元にあったし、
どうすれば、おねだりしないでも手に入れられるかという事をちゃんと知っていた。

バスが到着して出発するまでを裕子越しに眺めていた。
“昔から裕子のことは嫌い・・・”
あの日からずっと裕子のことは苦手である。
学校でも家でも、意見されることの少なかった教子が、初めてみんなの前で注意をされた日。
その日以来、裕子の姿を見るのが嫌で、避けるようになった。
悪意があったわけではないことも、自分が少しわがままだった事も本当は分っていた。ただ、人前で意見されることがそれまでに無かった為、教子には屈辱的な出来事だった。
教子が避けるようになって何日かすると、教室に一人ぼっちの裕子をよく見かけるようになった。
寂しそうだったし、なんだか可哀相だった。だけど裕子は誰かに泣きついた様子も無かったし、何も変わらず、変わった事といえば、いつも一人で教室に居るようになったという事だけだった。そんな裕子を見ながら歯がゆさを感じる自分が居た。裏腹に、段々と裕子への苦手意識が強くなり、それまで以上に裕子を避けるようになった。
“だけど、私は誰かに強いたわけじゃない。ただ自分が苦手だっただけ・・・”
今更、あのときの事を思い出して、自分に言い聞かせるように呟く。
中学に上がってからの裕子はまるで水を得た魚のように明るく元気だった。見かけるといつも沢山の友達に囲まれて本当に楽しそうだった。そしてますます、裕子のことが苦手になっていった。そんな時今日子と同じクラスになったのだった。
“もう、そんな昔の事はどうでもいい・・・”
吐き捨てるように呟いて 駐輪場横のベンチにカバンを置いた。
裕子の乗ったバスが駅前を通過する頃、フッと気が付くと、迎えの車が到着していた。

「ありがとう、今日はどこに連れて行ってくれるの?」
「どこか行きたい所ないの?」
「そうね・・・今日はHOTEL行きましょ」
「ああ、いいよ。 家に 今日は遅くなるって連絡しておきな。」
「ええ、わかったわ。もう少し走ったら電話する。」

そして、運転する彼の腿にそっと左手を置いた。



by yaya_22 | 2008-04-11 12:00 | Novel story(作り話)